2009/07/07

7月5日ウルムチの騒動について

7月5日にウルムチで起った騒動だけど、死傷者や逮捕者の正しい数なんて判らないし、どれが正しいとかどれがおかしいとか、そんなことはこの際脇においておく。
さて、今回の騒動を皆さんはどう見ているのだろうか。
当局の発表は、外国テロ勢力や分離主義派が計画的に煽動した暴動だと断定している。
一方、世界ウイグル会議は中国国旗を手にして平和的なデモをしていただけだと主張している。
私は中国当局の金太郎飴のような発表を端から信用していないし、「中国国旗を手に持って」という具体的で現実的な内容を含んだウイグル側の主張の方が信憑性は高い。
それに、中国政府が示した今回の外国プレスへの素早い対応の用意周到さも胡散臭いが、なにより、少し前のイランと同様、当局の公式発表と矛盾する動画や画像がネット上にドンドン投稿されては「河蟹」(中国で削除を意味するスラング)され、でも外国から再投稿されるという事態が、全てではないにせよ、真相の在処を暗示しているのではなかろうか。
平和的だろうとなんだろうと抗議行動を口実に民族虐殺をしておいて、あくまで悪いのは無実の人民を煽動した外国「テロ」集団と分離主義者であるとするところは、これまでにもあったお定まりのパターン。あえて酷い対応で挑発し、更に民族衣装を着た警官など偽少数民族が怒りを煽るように暴徒を演じることさえする。ただでさえ抑圧され続けて溜まりに溜まった情念に一度火がつけば収集は困難だ。おそらく本人でさえ抑えきれないに違いない。それを逆手に取った卑劣な手口である。あとはそれを口実に反体制組織潰し。
ま、今回の騒動についての詳しい情報についてはコチラにいっぱいニュース記事のリンンクがありますので、そちらを読んで下さい。まだ少し燻り続けているようですが、そういうことにして徹底的に取り締まっているのか、どうなのか、判りません。

さて、世界ウイグル会議が主張いてた平和的デモのそもそものきっかけは、6月26日に広東の工場で死傷者が多数でた事件である。もちろんネット上にいろいろ出回ったそうだが、Radio Free Uyghur Japanのサイトに動画がありました。相変わらず余計な雑音を持ち込む人が多いですが、そんなの無視して中国事情に詳しそうな人や中国在住の方のブログを幾つか読んでゆくなかで、コチラの記事を紹介したくなった。特にこの部分、

今回の暴動の引き金となった広東省の事件。
実は俺も02年に広東省(深セン)にいたとき、
現地の知り合いから「スカッとする笑い話」として以下のようなエピソードを聞いたことがある。

1.ウイグル人の泥棒どもの行動が目に余る。あいつらムカつく。
      ↓
2.けれど、むやみに逮捕するわけにもいかない。
      ↓
3.警官2人が勤務終了後に、私服に着替えてウイグル人居住地域に自動車で向かう。
      ↓
4.通りがかりのウイグル人の頭に背後から袋をかぶせ、片っ端から殴りつけてリンチ。痛快!

どう考えても問題がありそうなこの話が、
深センの若い学生の間で「笑い話」として語られているという現状は、
広東人のウイグル人観を考える上で興味深い。

上記のスレのなかで出てきた、6月25日の事件に関する「デマ」についても、
殴り殺した死体を辱める(「殴り殺したウイグル族の死体に小便をぶっかけた」はぶ註)くらいはやってもおかしくない社会的気分があるんじゃないかと個人的には思う。

現地に行ったりネットの書き込みを見たりしていると、一般の漢民族はチベット人やモンゴル人に対しては、それほどギラギラした悪意は向けていないように感じる。
(ただし「善意の押し売り」は往々にして見え隠れするがw)

だが、ウイグル人(≒イスラム教徒)に対しては、
特に現実社会において対象との濃厚な接触がない者ほど、あからさまなヘイトを向けているようなのだ。

対象に思い入れが薄ければ薄いほど人は薄情なもの。血が混ざり合うことで少数民族の文化が危機に瀕していると言うけれど、この観点からすれば民族の違いは異文化交流の妨げにはならないという捉え方も出来る。文化の維持で重要なのは寧ろ教育である。綺麗ごとのようだけど、相互理解を深めることでしか民族問題は根本的な解決にはならない。ただし中国共産党にそのような意図は感じられない。本心は全く逆のところにあるとしか思えない。今回の騒動も、広東の事件も、当局の恣意的な対応が齎した悲劇であることに間違いないだろう。


人気ブログランキングへ

0 件のコメント:

コメントを投稿

関係link

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...